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書評:「脳と心の地形図 ビジュアル版」源書房

http://libertatem.org/2008/05/book1.html

書評なんてこのサイトでする気はなかったのだけども、それなりにいい内容に触れられたと思うので、レビューのジャンルでやってみることにしました。同人とか考察とか何処まで散らばるんだこのサイト。

『脳と心の地形図』は洋書を養老猛司氏が監修し、和訳されたものです。内容は1999年までの脳科学を触れたもので、実験とエピソードを交え脳の機能に迫るものです。301ページ。文章の難易度は、大学生以上であれば、理系文系問わずに読めるものであると思われます。

で、書評ってどういったことをするのでしょうかね。他人の書評を読んだこともなく、大して気の利いたことはいえないと思いますが。それでも書評しようと思うに至ったのは、本書の内容が意識改革の役に立つものだと感じたからでしょうか。

内容はダウン症は染色体異常からくるものだが、実際に測定してみると脳のどの部分に影響があるかや、自閉症とは意識レベルにおいては何が欠落しているのか、など近年だれもが接する可能性のある人たちへの考えが深まるものです。しかし、同時にどのようなものが健常者とそれ以外に分類されるのか、それはとても難しいことに気がつきます。

この本に書かれるものによると、美食家は実はある部分への脳の損傷の結果が、食への探究心を生み出しているとしている節があります。それと同様に考えていくと、まさしく脳というハードウェアに間違いなく人間の自我は左右されているわけです。

脳というハードウェアは、遺伝情報や脳内物質によりあり方が代わってきます。ですからWIRED VISION NEWS(リンク省略)で以前取り上げられている通り、薬物も適度に使用すると基本能力を一時的に高めることも可能になります。それがモラルに反するかどうかは、各自の倫理観にゆだねられるわけですが。

僕の考える結論。理性的に振舞おうとする人は、漠然とした回答を嫌う─この場合は感情などに対してですが─ように感じます。ある程度言語化できれば、その不安も低減したり、結論を導き出すことが可能ですが、本書は数々のケースを元に、自分なりの『脳観』を持つことが出来ます。それと同時に、今まで誤魔化していたことに対し、スポットを当てるいい機会になります。そんなわけで、『脳と心の地形図』は感情で事実を歪ませたくない、知性的な考えを求める人にお勧めです。ブロガーにとっても、自身の脳の成長を考えるいいきっかけになるのではないでしょうか。

ところで。最後の章では意識はどこにあるのか、がテーマになっています。これはクオリア問題に繋がるものですが、本書ではクオリアの存在は否定されています。意識はものではなくてプロセスでしかない、というスタンスですね。果たしてクオリアは、自由意志は存在するのでしょうか。

けれども多くの人にはそれは関係ないはずです。細分化された末に、自由意志が存在しようが、所詮電気信号の結果でしかなかろうが、脳細胞がこれほどまでに関与してなお、一般人が自由意志の存在を知ったところで大きな変化はあるのでしょうか。むしろ、ハードウェアレベルでの制限は、既に十分なほどこの本で示されています。これからは適度な運動や筋トレと同じように、脳細胞を育む姿勢を持つ人が、知的なアスリートとしての地位を得ていくように思えます。仮に自由意志を否定されたとしても、やはり今考えているのは、脳の傷を含めてあなた自身であることには代わりは無いわけですから。

この本には、続に当たる関連図書がありますので、読んで本書と異なる点でも見つかれば、改めてレビューしたいと思います。

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2008年5月25日 19:47に投稿されたエントリーのページです。

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