二日連続で書評。前々から告げていた、「14歳からの哲学」です。
目次
- 1章:14歳からの哲学[A]
- 考える1/2/3
- 言葉1/2
- 自分とは何か
- 死をどう考えるか
- 体の見方
- 心はどこにある
- 他人とは何か
- 2章:14歳からの哲学[B]
- 家族
- 社会
- 規則
- 理想と現実
- 友情と愛情
- 恋愛と性
- 仕事と生活
- 品格と名誉
- 本物と偽者
- メディアと書物
- 3章:17歳からの哲学
- 宇宙と科学
- 歴史と人類
- 善悪1/2
- 自由
- 宗教
- 人生の意味1/2
- 存在の謎1/2
本書の全体像
みなさんは哲学に関する本を読んだことはありますか。僕はよく読んでいるほうではないですが、この関連の図書は、実は間違っていることを本当のように書いていたりで、下手するとあてにならないことがあるようです。ですので、筆者のネームバリューなどから判断して、読んでみるのがいいようです。この本は現代に生きるために必要な問題定期の万人に向けられた入門書としてはなかなかいいように思えました。
対象は14歳と17歳で、素朴な疑問に対して、実は前提を疑ってみる必要があるんじゃない、といった切り口で話が進んでいきます。最初の中学生に対しては、子供たちがよく考えている、生と死や、悩みなどを等身大で問題提起していき、そして新たな見方を教えるものです。17歳になってからは、世界が長きにわたって築き上げてきたもののは、果たして自分にどう作用しているのかを、それとなく教えています。ごくごく一般の、子供たちにとっては、受け取り方によっては人生が変わるほどのインパクトがあります。
そんな本書は、こういったことを一般よりは意識している僕でも、ふと、大人になって忘れてしまっているいくつかを思い出させ、考えるきっかけとしてくれます。2点ほどピックアップしてみましょう。
なぜ勉強するの?お金がほしいから?
子供たちは、なぜ勉強しなければならないのでしょうか。いい大学に行くため、や、将来苦労しないため、と言えばそれも答えでしょう。しかし僕が考えるに、このような教え方は、リアリティが決定的に欠如しているために教育を失敗するのです。
実は、一般家庭の子供たちは、お金に苦労していません。だってそうでしょう。父親が働いてきてお金を家庭に入れ、そしてお小遣いの制限はあれど、ほぼ必要なだけ、それも趣味にお金が投じれるのですから。それはすなわち、子供たちにとってお金は働いて得るという知識があったとしても、それは現実ではないのです。ですから、なぜ勉強するの?といった問いには、もっと的確な答えがあるはずです。
この本を通すことによって、今何かをなす意味、を子供たちであっても漠然と知ることができます。それは学業であったなら、遠い未来のためではなく、今のために努力する理由となります。他にスポーツや趣味などについても、考えるきっかけになるのであれば、間違いなく有用ではないでしょうか。考える機会がなかった子供にこそ、思考するステージへとシフトさせることが必要です。
自由とはどこにあるか
この本の性質もあり、もちろん金銭的な回答は得られません。しかし、皆さんも精神的な自由とはずばりこれである、と答えることができるでしょうか。金銭ならば、困らないほどにあればいい、とはいえても、精神に対しては具体的に考えたことがない方もいると思います。
その自由を得るために、まずは自由とはなにかを知ることが大切です。多くの人間は、生まれたときから漠然と知ってきたことを、さもそれだと勘違いする癖があるようです。たとえばよく目にする電柱、それを絵で書くことができるでしょうか。このような思い込みが、世間一般の回答を導き出し、それよりも賢く生きるための回答を遠ざけます。
僕自身講釈するほど知的でもなく、具体例では示しませんが、やはりこれについて考えることは、日課すら改める絶大な力があります。なにせ僕がそうやって変わったのですから。
本書が合いそうな人
現代に生きる考え方─それも哲学的な─が必要な人にはお勧めでしょう。普通の人間が、普通に疑問に感じるあの素朴さの文体で本書は統一されています。言葉の意味さえ見失わなければ、誰にでもわかることでしょう。それと自分の大切な人、兄弟であったり、子供であったりがこの年齢に達しそうであれば薦めるのもいいでしょう。しかし本を読まない子には、他の本からのほうがいいでしょう。それほど簡単でもありません。
また、本書でも本物が取り上げられています。本物とはいったい何なのか、それに本物である必要も、何なのか、これを知ることも大切でしょう。
高校3年生ぐらいの方は、前回の記事、「ゼニの幸福論」(青木雄二著)と一緒に読まれるのがいいと考えています。こちらは現実に即した金銭価値をわかりやすく示しているので、丁度今を生き抜くために必要な予備知識が、この2冊である程度まかなえることと思われます。
大学生も本書を侮っちゃいけませんよ。酒ばっかり飲んでいないで、バイトばっかりしていないで、読んでみてください。
