新年なんか直接買おうかとツタヤで選んだ本。(あまり良いのが無くて悩んだよ)
目次
- 第1章:動物のサイズと時間
- 第2章:サイズと進化
- 第3章:サイズとエネルギー消費量
- 第4章:食事量・生息密度・行動圏
- 第5章:走る・飛ぶ・泳ぐ
- 第6章:なぜ車輪動物がいないのか
- 第7章:小さな泳ぎ手
- 第8章:呼吸系や循環系はなぜ必要か
- 第9章:器官のサイズ
- 第10章:時間と空間
- 第11章:細胞のサイズと生物の建築法
- 第12章:昆虫―小サイズの達人
- 第13章:動かない動物たち
- 第14章:棘皮動物―ちょっとだけ動く動物
小項目省略
ゾウの時間ネズミの時間
世の中に生息する、体の大きい動物や小さい動物、植物、バクテリア、彼らの細胞と機能はどのようにして生きながらえるのかを描いた本。230ページ。1992年8月初版。本川 達雄著。中公新書。
良書。基礎数学と乗数の計算だけでこれほどに興味深い世界を表現できるのか、と驚いた。科学好きや理系とは言わずに、万人の高校生以上に読んでもらいたい。僕の学校組織も2年あたりでこの本を読むべきだろう。
科学的なものはすべて確実なことから結論を導き出すわけではなく、常識的な推測からアタリをつける前段階がある。その時には、いま考えていることが正しいかは問わずに探っていくので時に突飛なものになる。しかし科学の深いところに居ない人はこの段階が一番楽しく感じられるのではないだろうか。それが本書では幅広く書かれていて、雑学的な知識としてもすべてが要点だと言えるだろう。
あらためて目次を見てみてほしい。はじめにタイトル通りにサイズの話から入り、その機能について何章かをまたぐ。そして植物や昆虫、ウニ、ヒトデの話である。あの怪しげなウニやヒトデに関心がある人は多いはずだ。一つ本書で得た知識を出すならば、『ヒトデの外側はほぼ骨』なのだ。しかし曲がる。何故なのだろうか、という子供のような好奇心が起こるだろう。
他にもこんなものがある。昆虫の脱皮の話である。
気管は先端の方で細かく枝分かれして組織の方に入り込んでいるが、この部分(毛細血管と呼ばれる)の太さは、昆虫のサイズにもよらず、直径0.2ミクロンである。-本書P161
脱皮というものは費用と危険を伴うものである。(中略)クチクラの外骨格は、体表にある細いひげや毛を含めてなにもかもをすっぽり覆っているのだから、これをうまく脱ぎおおすのは、相当な技術がいるだろう。(中略)きわめつけが、体の奥深くまで入り込んでいる気管を脱ぎ捨てることだ。気管は体表面が体の内部まで入り込んだもので、外骨格の一部である。だから、こんな体の中に細く枝分かれして入り込んでいるものでも、脱皮の際、すっぽりと脱ぎ捨てなければならない。本書P163
昆虫は毎度こんなに大変な作業をしていたのだ!下手すれば死んでしまうほどに大変なこの作業は、自分の(耳などを含めた)垢を綺麗に落とすよりも繊細な事なのだろう。これを知って昆虫に対する思いが一段と深まってしまった。
こんな驚きが、人それぞれ異なるだろうが20は詰まっている。まさしく「高校生のための科学」であり「大人も読める科学」だ。今一度、年も明けたことだし科学的好奇心を呼び覚ましてはいかがだろうか。


