父から借りた本。短期間での重版と、職人に気を引かれました。
目次
- 第1章:"おいしい情報"を手に入れる「世渡り力」
- 第2章:人を引き寄せ、動かす「世渡り力」
- 第3章:自己演出で評価を上げる「世渡り力」
- 第4章:仕事の"敵"から身を守る「世渡り力」
- 第5章:遊びから最高のアイデアを生むコツ
- 第6章:どこでも生きていける「腕」の鍛え方
小項目省略
人生は勉強より「世渡り力」だ!
学歴を持たず、技術一本でやってきたのち、それを生かした交渉で成功を収めたストーリーを書いた本。196ページ。2008年6月初版。 岡野 雅行著。青春出版社。
書いてあることはなかなかにいい。職人気質でかつ交渉にも長けている。これだけのスキルがあるトップが居ると、同じ社員でも安心だろう。そういう面では中小企業の星だなと感じた。ただ、本書が必要としている人がこの重版分だけいるのか、と言えばそうではないはずだ。
本書の問題として、本人が持っている強みをすべて書いていない点がある。俺は下町の金型屋の二代目。学歴も金も何もない、ないないずくしの人間だった。
という聞こえのいい文章がはじめに書いてある。ただし、終盤になって念を押しているのが次の文章だ。
勘違いしてもらっちゃ困るから言っとくけど、技術を二の次にしたってわけじゃないよ。技術じゃ誰にも負けないってのが、俺の根っこだからね。
これが真実なのである。そして本書に書かれている「世渡り力」とは、すべてこの技術の支えがあってなのである。
本書では、技術的な話題ほど後ろに来ている。それは華の交渉とは打って変わって、汗水流して成果を上げる根っこであり、本書の前半に比べて楽しい話題ではない。しかしその基盤があってこそ、本書前半から中盤にかけての世渡りが出来るのである。
だから本書は、むしろ最終章からさかのぼって読んでいく方が、現実がわかるはずだし、同時に多くの読者にとって、新たな手法に取って代わるだけの影響力を持たないことがわかるだろう。
著者はこの自分のスキルを、交渉力、人間力と書いているが、実際は「何も持たないないないずくし」の時代に培った気概が芯にある。成人した人たちが本書を読んで意識するのも良いが、自分とは異なった別のあり方の確認程度にとどめた方がよろしいのではないだろうか。
ただし技術者や職人にとっては有意義な本だとは思う。本書は、技術バカじゃなきゃダメだ、ただし人付き合いの大切さを忘れるな、という根本を指摘しているので、そういった遊びを見聞きするにはむしろ良い本だろう。


