目次
文章の規模が大きくなりすぎたので、多少でも読みやすいように目次とその説明を書いておきます。もしタイトルに興味があるのであれば、このまま読み進めていってください。
注意!ページ内リンク
- はじめに
- 簡単な文章の内容の説明
- 1章:インフレーションの定義
- 本文中でのインフレについての分類わけの説明
- ステータスのインフレ
- 値的なインフレの分類の定義
- 行動範囲、表現のインフレ
- 土地や選択要素のインフレの分類の定義
- スキル、地位のインフレ
- 上に含まれないインフレの定義
- 2章:良いインフレ、悪いインフレ
- 何が良いもの悪いものであるか
- 取り残される場合の特徴
-
- ステータスのインフレの失敗例
- Diablo2のMODを例とした考察
- ステータスのインフレの失敗例まとめ
- 3つの教訓からわかること
- 行動範囲、表現のインフレの失敗例
- アンディーメンテ作品とゆめにっきを例とした考察
- 行動範囲、表現のインフレの失敗例まとめ
- 3つの教訓からわかること
- スキル、地位のインフレの失敗例
- ブラットレイン、三国志、Rise of Nationsを例とした考察
- スキル、地位のインフレの失敗例まとめ
- 3つの教訓からわかること
- 失敗例全体を通して
- 上記までの9つを踏まえて巨視的に見てわかる新たな3つの教訓
- 良いインフレ
-
- ステータスのインフレの成功例
- ZAngbandを例とした良い点
- 行動範囲、表現のインフレの成功例
- りべ・いすと戦娘2を例とした良い点
- スキル、地位のインフレの成功例
- パポタを例とした良い点
- 成功例全体を通して
- 成功例は必ずどこかがないがしろにされているということ
- 最終章:切り捨てるべきところと改善を図るべきところ
- 成功例、失敗例のまとめ読了後に読まれることをおすすめする、妥協案も含めた結論
- あとがき
- 結論と以上を踏まえたお勧めインフレゲーム
はじめに
銘は仰々しく、その実、意味薄なこのコラム、予想外にも結構読まれる方がいるようです。できれば連続性のある話題で展開したいのですが、まさに備忘録ですので、関連性に乏しい点はすみません。
今回はフリーゲームとは少し離れてしまうかもしれません。扱う話題は、初期値と比較した、もしくはその他のゲームよりもなんらかの規模が大きいことによる、インフレーションから来る快感が強いゲームについての考察です。また、そのインフレーションがもたらす快楽は、他にどのような魅力を持たせる手段となりえるのか、これについて考えをまとめます。
今回も長文ですので、だれると思いますが、良くも悪くも他にはない切り口で書いていますので、ゲームの魅せ方を考えている方は特に、おすすめとしたいところ。自分で言うのも変ですが。と、前置きはここまでに、ごゆっくり読まれてください。
1章:インフレーションの定義
ここでのインフレーション(以下インフレ)は、以下に示す3つとする。それぞれ共通点はあるが、僕が系統立てて考えていく中で、個別に分けたほうがいいと思ったので、そうすることにする。
ステータスのインフレ
まず1つ目、『ステータスのインフレ』。これはプレイヤーが扱うパラーメータが、後半にいくにつれて、およそ初期値の10倍、100倍そして1000倍に近づくゲームのことを指す。なのでドラゴンクエストの場合、最終パラメータは1000倍とはいかないので、平均的な成長システムとする。反対にファイナルファンタジーの場合は、9999越えが可能な攻撃力を持つ点からインフレとする。
この類のインフレは、後半超人化する、もしくは後半だれるゲームとして表現されることが多いものだと思ってもらいたい。
行動範囲、表現のインフレ
2つ目には『行動範囲、表現のインフレ』。ドラゴンクエストでは、基本的に鍵を幾度か手に入れてから、船、と決まったパターンでシナリオが進んでいく。これが主軸である、と捕らえるのであれば、このインフレに従っている。ただし、後半では行動範囲が広まっているか、といわれればそうでもないので、あくまでも平均的であるように思える。
表現のインフレとは、インフレと言い切るには微妙だが、『ゼルダの伝説:ムジュラの仮面』のお面クエストは該当しているかもしれない。具体的に、ひとつのお面からモーションを起こし、それを見た人が驚き、更なるお面をくれる、そしてこのお面が複数に効果を及ぼすとするなら。1から2つを得るのであれば、2段階目には4つとなる。これがどちらかといえば指数関数的であるのであれば、当てはまるものとしする。
この類のインフレは、製作者側のデータ量がものをいう。必要なものは、インフレに伴うバランス維持ではなく、データそのもの、新天地等の魅力に関連するものだと思ってもらいたい。
スキル、地位のインフレ
次に『スキル、地位のインフレ』。インフレの中でも、数値的なものではなく、プレイヤーに付与されるサブ的なものだ。具体性に欠けるが、ただ数が多いだけではインフレとはいえない。『レミュオールの錬金術師』などは、100を超える図鑑データを埋める点では、値は大きいが、一つ一つ埋めていく点から地道なものと言えるので、これには当てはまらない。ただし、もしこのゲームでお金が貯まっていくと、他の店も買収できて、相乗効果が見込めるといえば、地位の点において、最初から大きく変化をしているので、インフレであるといえるだろう。このインフレーションについては、いい例が挙げることができないので、思いつき次第、追記したい。
したがって、このインフレについては、その他も含めることにする。その他に分類した場合は、その都度説明を加えることとする。
2章:良いインフレ、悪いインフレ
定義を踏まえて、良いインフレと悪いインフレについて考えてみる。何が良くて何が悪いのか。
単純に捉えると、ゲームを終える直前まで、インフレの楽しさの醒めることがないのが良いインフレである。反対に悪いインフレとは、製作者が意図したものとは異なり、インフレにユーザが取り残されていき、飽きることが当てはまる。
それではもっと砕いて考えてみる。まずは悪いインフレについてである。このような題材は、外堀を埋めてから、成功する外形を捉えていこうと思う。
取り残される場合の特徴
インフレのメリットは、最初からは想像のつかない事象をもたらしてくれることだ。そしてそれは上の3つの共通点でもある。これにより、ワクワクが後半まで続くこととなる。
このとき取り残されるということは、ワクワクが途中で途絶えてしまったために、後半に製作者が作りこんでいたとしてもやる気がなくなってくる、ということだ。
まずこれが考え方にあたっての大枠である。取り残されればユーザは離れていく。反対に最後まで遊びたい、と思わせそうさせているのであれば、インフレを魅力として扱うことに成功しているわけだ。
また、失敗例を挙げていくにあたり、あくまでも主観であり、その魅力に最後までついていける人もいることと、失敗例ゆえ、普遍的なゲームを引き合いすることは難しい。よって、ここではあえて成功例でもそれになじめない場合はなぜか、そこに焦点をあてて考えていく。
ステータスのインフレの失敗例
個々のインフレに失敗している例を引き合いにしてみる。まずは1つ目のインフレ、『ステータスのインフレ』についてである。
しかし、個々の作品を引き合いにするほど僕はフリーゲームを知り尽くしてはいないし、多くの場合途中で放棄するほどずさんな出来であるはずだ。よって、大好きな方も多くいるDiablo2のMOD、『Nezeramontias』を題材にする。
このNezeramontias(以下Nez)は、僕もよく例として上げるインフレゲームのDia2を、更に1000倍以上インフレさせたものである。アイテムの数も増え、PCリソースの限界まで描画するような出来上がりとなっている。3段階あるレベルをひとつ進むたびに、これ以上は無理と絶望するくらい難しい難易度となっていて、最後の最後には100万ダメージを与えてくる敵(通常版のプレイヤーライフは多くて1000)に、無敵であったりと、Dia2を遊び倒した人ほど驚いてやまないバランスがこのMODの特徴である。
しかし、最高に面白いこのゲームは、たまに面白くないという意見を耳にすることがある。それはなぜか。ここにインフレゲームを作る際になおざりにしてはならない答えがあるように思える。例によって3つの点から考えて見る。
一つ目に、インフレが進みすぎ、値が大きくなってくると、その数値を管理するために振るポイントなどの作業時間が増えていくことだ。通常であれば5回クリックをすればいいところで、100回クリックしなければならなく、それが10もあれば1000回クリックしなければならない。
二つ目に、値そのものの失敗だ。大抵のゲームは999ないし9999が最高ダメージである。それに対して万のダメージであったりすると、とても新鮮で、力強いイメージへと直結させることができる。しかし、これが更に2ケタ増えたとする。『1000000』と目に入る。そこで、『1020000』と2万値を大きくしてみる。さて数値の上昇が体感できただろうか?上昇したのは2%。しかしこの2%がどのように戦闘に役立ってくれるのか。インフレしすぎるとその値の価値がわからなくなってくる。これは金銭感覚と似ていて、人は体感としての既知の値を大幅に超えてしまうと、それがどういう意味を持つのかがわからなくなってくる、ここに問題があるとみて間違いないだろう。
三つ目に、値が大きくなったことで何がなせるか、すなわちそれに関連したイベントが起こるかどうかだ。結論を言うと、Nezにおいては、ある程度の装備などを整えて、値も大きくなってしまうと、次に目指すものは、ランダムに落ちるアイテムを集めて起こすことが可能なイベントの実行のほかない。ただしDia2というベースがあるために、そのイベントも新しい装備が手に入る、以上のものでもない。こうなってくると、ある程度値が大きくなると、装備で値が上昇する魅力が少なくなってくる。それは2つ目にあげた、数値の上昇とたいした差がないからだ。
また3つ目のイベントに関することとして重要なこと、それはパラメータが指数関数的に伸びていくのに対して、イベントの時間間隔は指数関数的に伸びてはならないということだ。これは後々の考察にも深くかかわってくるかもしれない。
ステータスのインフレの失敗例まとめ
- ゲーム進行に関係の薄い作業の増大
- 知覚しにくい能力値の上昇
- 能力の上昇に伴うイベントの魅力低下
これらがNezから学べる失敗3例だ。根幹となるDia2システムの限界といえる部分も多くあるが、インフレのゲームにおいて、インフレするべきなのは単純に値にとどまらず、それに伴う操作量の反映も増えなければならない、ということが1点目からわかる。次に、知覚しにくい能力値は、特にNezの場合は、その馬力がでる理由がバックにないことが大きな問題となっている。すなわちシナリオ上での理由付けがないために、能力の上がっていくありがたみを忘れ、次第についていくことが出来なくなる、これが原因だ。イベントの魅力低下、これについては後半の報酬も能力値の上昇という、悪く言えば馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返される報酬のことである。また、ここで肝心なのは、ステータスの面において、次の報酬を得ることにより、今回の報酬は無価値になるのであれば、今回の報酬で何かをなせない限り、時間の浪費でしかない、というよくよく考えると虚しい時間をユーザに使わせるシーンを、無意識に作ってはいないか、ということだ。
これらを踏まえて、ステータスのインフレでは、ただ能力が上がるだけでは、次第に魅力は損なわれていく、という現象が成り立っている。すなわちステータスのインフレだけでは楽しいインフレゲームと感じない人もいるわけだ。
行動範囲、表現のインフレの失敗例
次は『行動範囲、表現のインフレ』の失敗例である。先の定義に従って考えると、新天地を追加したが結果として裏目に出た、とか、表現が増えたがやっぱりそれも裏目に出た、辺りである。さて、事実としてインフレは普段体感できない世界の加速を感じるものであって、ずばり新天地なんかは、宇宙または他世界のゲームは既に当てはまっていると言っても良いだろう。とはいったが、なかなか引き合いに出せるゲームがない。単純に、僕の考えに沿うとやたらとフィールドが広いとかそういった次元になるので、そもそも例がごく小数になる。よってアンディーメンテ(ジスガルド)さんの『RS』とか『怪盗プリンス』を対象に考えてみたい。
同作品は、webでの評価は高いし、失敗例、ではなく、疑うことのない成功例である。ただここであえて失敗例としたのは、行動範囲が広すぎる上に難しく敷居が高いから、という高評価と知った上での贅沢な指摘である。
まず、主人公は開始とともに宇宙にいる。そしてどこか適当な星にいって、戦闘をしてアイテムを入手したりでのし上がっていくゲームであるのだが、主人公も当たり前のように腹が減るわけで、食料は少ししか持っていない。
そしてこのサークルの特徴が、ゲーム開始時には何をすればよいかの情報を与えてくれないのである。なので『怪盗プリンス』では、この食料を手に入れるために、宇宙の店を探すのがいきなり壁として立ちはだかる。
この問題をクリアし、ようやく序盤を抜けようとするときに。新たな生産スキルなどが現れるのだ。そしてこれは、とある印象に薄い星に行って、駆使し続けなければ、その間にもどんどん敵は成長していき、中盤苦戦しすぎてゲームにならない。自分で対策を練るスルメゲーが好きな人はこれでも良いかもしれないが、ネットで調べろといわんばかりのシステムに、音を上げた人も多くいるだろう。ちなみに僕は、RSは地道にプレイすることができたが、怪盗プリンスでは70時間程度費やした挙句の果てに、限界を感じて引退してしまった。なんともコアなゲームである。
表現の方面では、難がある、というレベルで言えば『ゆめにっき』である。同作品は、夢の中─それも悪夢─の中を彷徨って、ただ彷徨い続けるゲームである。ただしクリアのための条件があり、それは広大なマップの中たたずむモチーフにアクションを起こし、そこからアクションをもらい、アクションを増やしていき、すべて集めればクリアである。
これも間違いなく優良な作品である。特にファーストインプレッションは秀逸で、本当に夢の中に出てきかねない。
ただしそれも彷徨うレベルで楽しむのであれば、の話である。広大なマップからアクションを入手し、そしてアクションを起こすかどうかも疑わしい対象に、ひたすら試し続けるのである。ツボにはまれば最高に楽しいが、拷問とも取れなくもないゲームである。したがって、初心者にはこのクリア目標は非常に難しいものであるし、なによりクリアまでのワールドイベントは、『奇怪な敵がより早く、多く走り回るようになるだけ』である。なんともいえない悪夢がここにある。
行動範囲、表現のインフレの失敗例まとめ
- 広すぎて何をしたら良いのかわからない
- 上記の行動にペナルティを伴う
- 表現の追加は、単純に試行錯誤の手間を増やしただけ
これらが失敗3例である。一つ目は、ただ単に広い、だけではアウトということである。ただしこの広さが、気を引く景観を伴っているのであれば、全く問題にならないどころか、確実なプラスに働くだろう。
二つ目は、この広すぎるが故の試行錯誤に、ペナルティがついて回るものである。ユーザは何をしたら良いかわからないのに、その行動の結果、後に悪影響を及ぼすなら、試行錯誤の意欲すら押し込まれることとなる。製作者が意図していない限り、これはタブーといってもいい程度の失策である。ただし、プレイしたての5分などで実行したが駄目だった、など最初やセーブポイントからの短いスパンで結果がわかるものなら、まだ良いだろう。それも持ち味であるし、短ければ短いほどユーザの受けるストレスは少ないものですむ。
三つ目は、ステータスのインフレで挙げた、『ゲームの関係の進行に関係の薄い作業の増大』と同じニュアンスである。製作者は意図していない限り、ユーザに対して無用な作業を与えるのは望ましくない。また、製作者がひどい気まぐれであった場合、ユーザはその過去の出来事を思い起こし、製作者がそれはありえない、と考えていたことまで試しだすことがある。例えば壁に移動キーを押し続け抜けれると考えたり、バイオハザートのようにテキストを百回読み出すこともなんら不思議ではないのだ。製作者が気まぐれであったとしても、ある一定の秩序を与えるべきである。例として、暴挙に出るのは隠しダンジョンのみで、エンドロールが流れるまではごく一般のつくりにする、などがある。
もう一つ、このインフレが通常よりも劣る場合、一部の人に好かれ、多くの人からは受け付けられないゲームになりがちであるということだ。
スキル、地位のインフレの失敗例
三つ目は『スキル、地位のインフレ』の失敗例である。最初に良い具体例がない、と書いたとおり多分、今は出てこない。だからこの項目はその他的なものとして捕らえて欲しい。それに地位がインフレしてそれだけで楽しいものは聞いたことがない。
さて加速度的に変化するインフレにおいて、スキルや地位とは、ユーザのスキルを指してはいないことはもうお分かりだと思う。ここではスキルのインフレの失敗例として、商用PCゲームの『ブラットレイン』というアクションゲームを出してみよう。このゲームはシナリオが進むたびにコンボが出来るようになる。パンチだけだったのが、ワンツーになり、そしてハイキック、とび後ろ回し蹴り、と攻撃モーションが増えていく。ただし困ったことに、後半のコンボは、モーションが大きい上に、外してしまうと2秒程度無防備になってしまうのだ。そうなると、このコンボに観賞以外の意味はあるのだろうか。友人はこれをボスでは2回攻撃までしかしないことで勝っていたが、それは虚しいものだ。このままではボタンを押すなゲームになってしまう。
スキルの別の例を出してみよう。先の例だとただの比例ではないのかと言われそうなので。コーエーの『三国志9』辺りが良いだろうか。バージョンが正しいどうかわからないが、このゲームはなんと孔明が誰でも自分の将軍にするために引き抜いてしまうほか、流言を用いた場合、100%成功してしまうので、戦争になったらこれを用い、敵国は軍隊の引き上げばかりに資源を用いることを強いられ、要は孔明がいると勝ててしまう。これは単純にバランス調整を行っていないだけに思えるが、一人の優秀な人間にだけ、特別扱いをすると失敗する良い例である。
地位のインフレについては、ゲームの名前を忘れてしまったが、経済を操る類のゲームである。最初は貧乏からのし上がっていくのだが、後半は大企業を買収にかけることが出来る。結果、買収にかけた費用は戻ってくることとなり、現実世界でこれを行使しまくると、違法になるようなことも軽々とやってしまう。どうせなら一定確立で自分の会社も序盤から敵対買収されれば公平だが、果たしてそれがゲームといえるのだろうか。少なくとも針の穴に糸を通すようなゲームをしたいとは思わない。
この会社のものに似た、良い例があった。マイクロソフトから販売されている『Rise of Nations』である。このRTSは、シナリオ中に他国と簡単な経済活動を行うことが可能である。その経済活動は、お金、土地、戦闘で効果を発揮するカードなどのやり取りである。それで何が出来るか。友好国に首都の隣の土地を売ってもらい(もしくは交換)、それの後に、有用なカードも売ってもらい、そしてそれらを使って首都を攻め落とすのである。そうすると国が保有していた土地とお金がすべて自分のものになるのである。
僕はこのゲームが好きだし、この点だけで優劣を語るつもりはないが、少なくともこのシステムは不恰好なものである。せっかく脳内でロールプレイングをしようとしたところで、愚劣な敵国の対応しかないのであれば、そうも思えるだろう。
スキル、地位でのインフレの失敗例まとめ
- 操作ミスを誘発する設計
- 平均的な世界での規格外
- 勝利により完全返済される投資
一つ目。これは他のインフレ失敗例でも挙げたとおりに、インフレに伴ってユーザにストレスを強いる設計は、意図的にでない限りするべきではない。
二つ目。これはフリーゲームでよくあるミスだろう。例えば天使のような存在をおいて、そいつが最強理論により、決して負けることのない状況を作り出してしまう、ということだ。平均的な世界に規格外をおく場合は、そのシステムバランス以上に、感情移入の点で飽きを生じさせてしまう場合がある。これはノベルゲームでも同じで、適度なリアリティをもたせることも大切である。また、PRGなどでこれを用いる場合、まだ仮説でしかないが、ポアソン分布を用いるなど、確立、統計の知識を流用すれば、何か安定性の面で優れるシステムが出来そうな気がする。二つ目の内容も、これだけで新しいフリーゲーム論を論じる得るだけの内容となるだろう。
三つ目。これは海老で鯛を釣る、ということ。ゲームチックに考えるなら、その釣った鯛を売って、海老を飼おう。しかしそれではユーザのリスクは減り、その賭けに失敗したときはセーブデータを読み込むのみである。したがって、勝てば投資が同質に返ってくるシステムはよほどの自信がある限り用いるべきではなく、返ってくる投資は変質させるべきである。そうすれば、正当な報酬を保ちつつ、ありきたりさをなくすことが出来るはずだ。
こうやって挙げては見たが、どうにもここはインフレ以外の観点から見るほうが都合が良いだろう。後日また掲載するであろうフリーゲーム論で追って考えてみたい。
失敗例全体を通して
もう一度失敗の原因をここに提示しよう。
- ゲーム進行に関係の薄い作業の増大
- 知覚しにくい能力値の上昇
- 能力の上昇に伴うイベントの魅力低下
- 広すぎて何をしたら良いのかわからない
- 上記の行動にペナルティを伴う
- 表現の追加は、単純に試行錯誤の手間を増やしただけ
- 操作ミスを誘発する設計
- 平均的な世界での規格外
- 勝利により完全返済される投資
ここから巨視的に捉えてわかることは何か。一つ目はインフレと称して、単純にプレイヤーの入力が増えていくだけ、もしくは結果的にそうなってしまうことが多くあること。インフレさせるときは、一体何を大規模なつくりとして見せたいのかを考えなければならない。
二つ目は、インフレを中心として進むはずのゲームが、インフレでない部分に足を引っ張られていることがあること。インフレさせるときは、その他の部分で制約を掛けてしまうとインフレになりきれないほか、一つ目の入力の増加も引き起こしてしまう可能性がある。
三つ目は、インフレに伴って、他の要素がないがしろにされることがないようにすること。イベントの魅力が下がることも然り、インフレの要素だけで投資の完全返済を狙えたりするものは、他の部分が無駄となってしまうばかりか、インフレに頼るだけで進行できる単調さをもたらすこととなる。二つ目を踏まえたうえで、他の要素はインフレと適度なシナジーの関係にあるのが理想だろう。
長かった失敗例に対する考察はここまでで、以上の9つと新たに解った3つを踏まえて、後半の良い例はテンポよく、逆説的に話を進めていきたい。
良いインフレ
ここからは良いインフレである。考察はここまででだいぶ行ったので、あとは流用でトントンと話が進むはずだ。
ステータスのインフレの成功例
ローグライク─風来のシレンに似たシステム─のbandシリーズが、もっと広義に捉えるとD&Dシリーズはこれに当てはまっている。僕のプレイしたbandシリーズである『ZAngband』は、ダンジョンの奥にいるラスボスを倒すというもの。最初はシレンのようにバランス系であるが、後半は敵も装備もインフレしていく。ただ、ここで大事なのは、強い装備でがちがちにすれば容易かと思いきや、敵の攻撃には属性を持ったものがあり、それは10以上もあるので、すべての耐性を持たせる前提で装備を考えていかなければならない。また、同作品は、死んだらデータが消えるためにゴリ押しはあくまでも自己責任なのである。
非常に敷居が高いが、このゲームは一辺倒では勝てないという面で、優れている。ただし他の面に目を向けると、潜れるダンジョンはほとんどないのだが、下手するとゲーム開始とともに死ぬことと、またゲームのシステムを熟知しなければ、とんでもない目にあいがちなのは、行動範囲、表現のインフレの面においては、苦しいものがある。
行動範囲、表現のインフレの成功例
さすがにこの分類は、これが出来れば大衆にうけが良い、と書いたとおり市販ゲームに多くある。いちいち説明するのも野暮なので、タイトルだけ簡単に列挙しよう。『TES3 Morrowind』、『MIST』、『HALO』そして『アサシンクリード』である。ここからいえるのは、どれも総じてスケールが大きく、異世界を連想させる。また、グラフィカルである。ただし説明を加えたいものも更に2つある。『ダンジョンシージ』と『NeverWinter Nights』のフリーワールドのNordockである。マルチで味わうことが可能な、探索の楽しさを教えてくれるのは、この2つに勝るものはない。どちらも次のマップに進むたびに見られる美しい世界と音楽は、まさしくロードオブザリングの世界を歩いている、ということが出来るだろう。ちなみにダンジョンシージには砂漠があり、まことしやかにピラミッドの存在がささやかれている。本当にあるのだが、この砂漠、とても広く、幅7分、奥行き7分程度である。ここで視界が20秒で移動可能な距離しか見えないとすると、単純計算で、21×21、442分程度探索しなければマップは埋まらない。5時間探してもピラミッドが見つからなかったこの感覚は、同じプレイヤーでしか味わうことがないだろう。
すこし神秘体験にノロケてしまった。それでは肝心のフリーゲームでは該当するのはなんだろうか。フリーでの拡張マップ、と言う点では既に上のNordockは満たしている。純粋にフリーのものでは、『りべ・いす』と『戦娘2』が挙げられる。前者はシナリオ物のRTS、後者は女の子育成ゲームだが、後半に隠しダンジョンが発生し、そこに潜ることが可能となる。そしてそれに費やす時間は、シナリオの1/3程度もあり、僕は思わぬ楽しさとして享受することとなった。どちらも内に向かうという面で、行動範囲がインフレされたわけである。
スキル、地位のインフレの成功例
AIを用いるのであれば、段階的に難易度が決めれるほどに作りこんでいれば成功している。それにより、こちらだけ賢いプレイをすることが避けられるからだ。後はユーザの実力に応じて使い分ければよい。しかしそれは相当に難しい話で実現しているものは市販品以外僕は知らない。
『パポタ』は、この点では成功しているかもしれない。適度なアクション性と、成長要素、合成要素はフリーでは秀逸である。ただし、ステータスのインフレのUIの項目やイベントの間隔などが致命的な出来のために、良くも悪くも一般的なマゾゲーのバランスだろう。
成功例全体を通して
もうお分かりだと思うが、今のところ、大衆性と個性は両立することが大変難しいと思われる。なぜなら、成功例はないがしろにしているほかの点があるほど良い個性となり、行動範囲、表現のインフレで成功しているものは、大衆性が増す代わりにデータ量が膨大となり、個性を出すほどの余裕が出来にくいのだ。
だからこそ、個性を前面に打ち出して行動範囲などを規定していく失敗例のアンディーメンテやゆめにっきは、この点を切り捨てたために他の点で秀逸になれたのだといえる。
したがって、特に個人製作の場合は、(システムなどすべてを含めた特出した意味での)個性、(地形などの)データ量、大衆性の比重を考えなければならない。個性とデータ量を充実させれば、特に後半になるにつれてついてこれるユーザは減る(むしろ最初から淘汰されるか、でないかでもう決まっているかもしれないが)。また、個性と大衆性とは、前回のフリーゲーム論を通じても、両立できないとしている。ただ貴方の個性が、大衆受けしやすい、最大公約数的なものであればいいのだが、そうなったときは、ごく少数に向けられたインディーズの魅力はきっと失われているだろう。
最終章:切り捨てるところと改善をはかるべきところ
ついに最終章だ。2章の悪いインフレでは、優秀な作品でもなじめない理由を考察し、良いインフレでは優秀な作品が先に定義したなじめない理由に該当するかを考察した。なぜならば、僕が良いというゲームでも間違いなく批判されている瞬間があるわけだ。
するとやはりというべきか、インフレという枠では捉えきることが出来ず、もっと高いところから判断するしかない、という結論に僕は達してしまった。どうにもユーザという者は直感的に考えてもそうだったが、僕の考えられる範囲で順を追って考えても、趣向というものがあって、それにそぐわなければ面白くても遊ばない事実があるわけだ。
だがここまでの成果として2点、1つはユーザが面白くないとする理由に一定の法則があること、もう1つは1つめを踏まえたうえで、改善が図ることが可能な失敗点と、個性などと割り切って取捨選択をしなければならない点があることがわかった。ただし、ここでも個性の拡大解釈をすれば、失敗点も個性の1つ、と言えるかもしれない。
それでは先の9つを、個性とみなせる範囲と、改善を図るべき範囲に分けよう。
改善を図るべき問題は以下の通り。
- ゲーム進行に関係の薄い作業の増大
- 能力の上昇に伴うイベントの魅力低下
- 表現の追加は、単純に試行錯誤の手間を増やしただけ
- 操作ミスを誘発する設計
- 勝利により完全返済される投資
これらである。何度もいうが、これらを意図的に用いない限りは、不要の産物である。それではどう意図的に用いるかだ。
『能力の上昇に伴うイベントの魅力低下』、これは、たまに用いると、ユーザの注意を誘うことに使える。イベントの報酬が少なかった場合を学習し、今後ためらうようになる。ただしそれは次の重要なチェックポイントが別のところにあるため、だとするならば、無意識のうちに注意を正しい方向にもっていくことが出来るかもしれない。また、『操作ミスを誘発する設計』ボンバーマンの入力の反転による操作妨害、これはインフレになんら関係がないが、これまでに目くじらを立てる必要はなく、むしろ楽しむためのものだろう。
個性とみなせる範囲は以下の通り。
- 知覚しにくい能力値の上昇
- 広すぎて何をしたら良いのかわからない
- 上記の行動にペナルティを伴う
- 平均的な世界での規格外
これらは改めて説明する必要はないだろう。どちらかといえば好き好んでユーザが欲しがるストレスの類はこの中にあるように感じられる。
ただし上の分類も、既に単純明快に砕いたものであり、元の失敗例からは離れていることを忘れてはいけない。だからこそ、再度書くが、以下の点を踏まえた上で、効果的にストレスとなる要素を使うべきだ。
ここから巨視的に捉えてわかることは何か。一つ目はインフレと称して、単純にプレイヤーの入力が増えていくだけ、もしくは結果的にそうなってしまうことが多くあること。インフレさせるときは、一体何を大規模なつくりとして見せたいのかを考えなければならない。
二つ目は、インフレを中心として進むはずのゲームが、インフレでない部分に足を引っ張られていることがあること。インフレさせるときは、その他の部分で制約を掛けてしまうとインフレになりきれないほか、一つ目の入力の増加も引き起こしてしまう可能性がある。
三つ目は、インフレに伴って、他の要素がないがしろにされることがないようにすること。イベントの魅力が下がることも然り、インフレの要素だけで投資の完全返済を狙えたりするものは、他の部分が無駄となってしまうばかりか、インフレに頼るだけで進行できる単調さをもたらすこととなる。二つ目を踏まえたうえで、他の要素はインフレと適度なシナジーの関係にあるのが理想だろう。
あとがき
うぁーこんな長文を書いたのは初めてです。最初はインフレのバランスとタイトル通りに終えるつもりだったのですが、思考の過程でどうにも製作者の個性を除外できなくなって。そうするとユーザの嗜好も考慮に入れなければならないので、これだけ大規模になってしまいました。
引用データが膨大になったのも1つの原因ですね。やはり少ないサンプルから全体を導き出すのはとてもおこがましい。そうしないためにもありとあらゆる方面から引っ張ってきて、そして注釈を入れていくと更に大きくなっちゃって...
そしてあとがきで結論を言いましょうか。型にはまった答えはないが、もし貴方が手にとってもらうためにゲームを作っているのであれば、無鉄砲に作るのではなく、もっと広域のことを理解した上で、作りたいように作るのが一番良い。
絵と同じですね。萌え絵も人体を知っているほうが、崩したときも質の高いものになりやすいです。多分また僕の考察で出てくると思いますが、守破離、です。これが出来てからのほうがより良いものになる。ただまあ、フリーゲーム作っている年齢層からすると、こんなこといってもほとんど無駄なんですけどね。
守破離、知らない方がいましたら、ぜひ調べてみると良いです。物事の基本ですので。
最後に長くなったのであとがきに持ってきたのですが、紹介したいゲームがあります。僕が考えていくにあたって、定義したインフレの型を高度にこなしたゲームです。『プログレッシブ光の勇者達』、今はもう、公開していなく入手は難しいかもしれませんが、2003年くらいのティックウィンのフリーゲーム特集にありますので、ぜひやってみてください。
内容については、また後日どこかで語ろうと思います。もう疲労感いっぱいの3日にわたる執筆でした(笑。ここまで読まれた方、お疲れ様でした。僕もお疲れです。読まれた方の肥やしに少しでもなれればいいな、と願っております!